クリスマスの季節が来ると思い出す、
二つの出来事があります。
子ども時代の思い出と
シカゴでのクリスマスの思い出です。
わたしは神奈川県小田原市で
少年時代を過ごしました。
日本基督教団小田原十字町教会が
一族の教会でした。
いまでは親族でこの教会に集うのは、
ひとりになってしまいました。
わたしが子どもだった頃はもっと大勢いて、
叔父叔母は青年会に属し、
わたしは日曜学校に通っていました。
行きはバスでしたが、
教会からの帰りは弟と二人、
歩いて城址公園を通って帰りました。
今のように整備されてはおらず、
城趾の裏側は
関東大震災で崩れた石垣の大きな石が、
斜面にころがり、
そこになぜか他の動物とは離れて
山羊小屋がありました。
山羊にちり紙やノートの切れ端を食べさせて
遊んだものでした。
クリスマス祝会はクリスマス・イブ、
つまり夕べにおこなわれていました。
日曜学校の分級ごとに、
祝会で歌を歌ったり劇をしたりしました。
わたしは三人の博士の役をすることが
何度かありました。
教会からのクリスマスプレゼントは
とても楽しみでした。
しかし、本当に楽しみだったのは、
イブの深夜でした。
この日だけは夜更かしが許されました。
祝会を終えた教会の青年たちが
そのまま教会に残り、
夜が更けてから教会の方たちの家を巡って、
クリスマス・キャロルを歌うのです。
家で家族が集まり、
我が家に聖歌隊が来るのを待っています。
すると午前2時くらいでしょうか、
窓の外から「もろびとこぞりて」が聞こえます。
急いで窓を開けると、
そこには教会のお兄さん・お姉さんたちが
並んで歌っています。
そこにはわたしの叔父や叔母もいました。
大きくなったら、ぼくもいつかいっしょに
キャロルを歌って回ろう。
そう思いました。
その願いは、
実現することはありませんでしたが。
クリスマス・イブの夜、
キャロルを歌って家々を巡ることは、
それからだいぶ後、
シカゴで現実となりました。
わたしたちは大学のある
シカゴ南部に住んでいましたが、
教会は北にあるデボン教会
(デボンは通りの名前です)という
日系人教会に行きました。
その教会には、
北部郊外にあるトリニティー神学大学院や
ホィートン大学などに来ている
留学中の学生たちもいて賑やかでした。
うまくはありませんでしたが、
男性四人のコーラスグループも作っていました。
クリスマス・イブにはイブ礼拝がありました。
市の消防条例で会衆がろうそくを持つことは
残念ながらできませんでしたから、
キャンドルサービスではありませんでしたが。
イブの礼拝を終えてティータイムを過ごし、
夜が更けると数台の車に分乗して、
おもに教会に来ることのできない方たちの
アパートを訪ねて行きます。
雪が積もる市街を巡り、
氷点下5度から10度ほどの外気の中で、
アパートの窓の外で歌います。
気付いて灯りを点け、
窓を開ける方もあれば、
暗いままのこともあります。
気付かれなかったのでしょうか。
それでも最後まで歌い、
順に巡って、
教会に戻って夜食を食べて
楽しい時間を過ごしました。
当時、デボン教会には
五十名ほどの日系一世の方が集い、
そこに留学生やシカゴに勤務する
日系企業の方たちが加わって、
けっこう賑やかでした。
その一世の方たちもほとんど天に召され、
当時世話になった牧師は
十年ほど前に天に召されました。
今、日本語礼拝はなくなり、
二世、三世中心の
英語教会となっているようです。
わたしたちが日本に戻ったのは
1982年の1月でした。
その4月から小山伝道所に赴任し、
以来四十年、
この教会で牧師として
クリスマスを祝ってきました。
小山教会での思い出もたくさんあります。
ブラジル人会衆がいたときは、
クリスマスの祝いは
80名を越えることもありました。
教会はぎゅうぎゅうでしたが、
ブラジルやペルーの料理、
タイの料理も加わって、
祝会での持ち寄りは
まさに神の国での祝宴のようでした。
今年はわたしたちが小山教会牧師として迎える
最後のクリスマスになります。
コロナ禍で中断していた、
持ち寄り食事会の祝宴を、
今年は再開します。
来年四月からはまた、
教会にとってもわたしたちにとっても、
新たな歩みが始まります。
いまからわくわくします。
教会の歴史がまた積み重ねられてゆきます。
主なる神がどのような未来へと
導いてくださるのか、
とても楽しみです。
いま、わたしたちの教会には、
大きな病を負い、
神への信頼の内に闘病しておられる
兄弟姉妹がおられます。
それぞれ状況は異なりますが、
どなたも皆、信仰を拠り所とし、
主なる神への信頼を抱いて、
このクリスマスを迎えておられます。
心から主の平安があるようにと祈ります。
また、天使ガブリエルがマリアに告げた、
「神にできないことはない」という言葉が
とても力強く響きます。
ウクライナの人々、
放浪する何十万人もの
難民のことも覚えます。
天使が歌います。
「地に平和!」
主キリストの恵みと平和が
皆さまと共にありますように。
12月17日、記
Copyright © 2020-2022 Nazaren-OyamaChurch All Rights Reserved.